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まこと様リクエスト
京介の圭志に対する執着、溺れっぷり+圭志が京介に甘える。
=総合してめちゃくちゃ甘い話。
*未来設定、恋人同士です!






目の前にいる唯一の存在をこの腕の中に閉じ込めて、

「圭志」

そっとその名を呼べば、

「ん…、京介」

温もりを求めるように背に回される腕。

「愛してる」

それがとても愛しい。





◇◆◇





「京介」

「何だ?」

テーブルの上に決裁済みの書類を置いて、新たな紙を手に取る。

「何でお前ここで仕事してんだよ?」

そう言いながら隣に腰を下ろした圭志にチラッと視線をやって再び紙に視線を落とす。

「お前が最近生徒会室にこねぇからだろ」

二人が今いるのは生徒会室でもなければ二人の部屋でもない。

校舎内にある風紀室だった。

「だからってなぁ…」

呆れたようなため息を吐いた圭志に京介は紙から顔を上げた。

「で、何で最近来ねぇ?」

「はぁ、…俺も色々忙しかったんだよ」

隣に座る京介の肩に頭を凭れかかせ圭志は呟く。

「お前が今処理してる書類と同じぐらいの仕事が回ってきて…」

そう言って委員長席の机の上を指差した。

そこには溜まりに溜まった書類の山が三つ。

「ンなもん明にやらせときゃいいだろ」

フンと面白くなさそうに鼻を鳴らして、京介は肩に凭れかかる圭志の髪に触れた。

言葉とは裏腹に労るように優しい手つきで髪をすかれ、圭志の頬が自然と緩む。

「あ〜、そうだ。いっそのこと京介もここで仕事すりゃいいんじゃねぇ?」

圭志は身体から力を抜いてその身を京介に預け、そう嘯いてみた。

それを聞いた京介は自分にかかる心地好い重みを感じながら、先程とはうって変わってフッと優しげな笑みを見せる。

「それもいいな」

「だろ?」

圭志は戯れるように京介の頬に手を伸ばし、触れる。

「ただ、ここは生徒会室と違って二人きりだから…仕事になんねぇかもな」

ニヤリと口端を吊り上げ頬に触れた圭志の手をとって、京介はその指先にチュッと口付ける。

「それじゃ意味ねぇだろ」

掴まれた手をそのままに、圭志は肩を竦めて笑う。

「まぁな。でも仕事になんねぇのは俺だけじゃねぇはずだぜ?」

口付けされた指先をカリッと軽く甘噛みされ、ピクリと肩が震える。

そして、もう一度その指先に唇が寄せられるのを見て圭志はそうかも、と苦笑した。

触れられた所から熱が身体中に広がるのが分かる。

圭志は掴まれていた手を取り返すと触れられた場所に己の唇を寄せ、こればっかりはどうにもなんねぇよな、と笑みを溢した。

「まぁでも、たまにならそれもいいかも…」

そう言って圭志は預けていた身を起こし、京介の背に両腕を回すとその胸に顔を埋めた。

それに応えるように京介も圭志の背に腕を回して抱き締め、圭志が楽なよう少し体勢を変えた。

とくん、とくん、と規則正しく伝わる鼓動に耳を傾けながら圭志は口を開く。

「なぁ京介、その書類って今日中に片付けなきゃなんねぇのか?」

「どうとでもなる」

返事になっているようでなっていない言葉を返し、京介は圭志の髪に口付けを落とす。

「そっか」

その京介らしい言い方に圭志は肩を震わせた。

「圭志」

「ん?」

呼ばれて顔を上げれば唇に触れるだけのキスが落ちてくる。

「んっ…」

「帰るか?」

それを瞳を細めて気持ち良さそうに甘受して、圭志は頷いた。

「ん。帰ろうぜ」

俺達の部屋に。

よっ、と京介から離れて圭志は立ち上がる。

そして、圭志はふと何かを思い出したかのようにソファーに座る京介にフッと笑みを向けた。

「なにも会いたかったのはお前だけじゃねぇぜ?」

「ンなこと分かってる」

京介も似たような笑みを浮かべて立ち上がり、圭志の腰を抱くと、廊下へ続く扉へと足を動かした。

「そのままでいいのかアレ?」

「後で誰かが回収するだろ」

こめかみにもキスをして京介は扉のノブに手をかける。

「それもそうか」

くすぐったそうにキスを受け入れ、圭志は京介と共に部屋を後にした。





◇◆◇





背に回された力強い腕に心地好さと安心感を感じ、

「ん…、京介」

その名を呼び返せば、

「愛してる」

愛しむような声音で囁かれ、更にきつく抱き締められる。

「…俺も、愛してる」

その温もりがとても愛しい。





END.


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